独立開業を目指す!~医師が独立に踏み切る年齢とは?

難関資格である医師免許は、さまざまな働き方を可能にさせるものです。安定した働き方ができる勤務医を希望してもよし 、平均して勤務医の1.7倍もの年収を得られる開業医を希望してもよし、いずれの道であっても明るい未来が待っている資格だといえるでしょう。

ただ今回はそのなかから「開業医」に焦点を当てて、開業医が独立に踏み切る年齢とその背景について解説してきます。

目次

データからみる独立に踏み切る年齢の平均

勤務医としての働き方にも数多くのメリットがありますが、「年収アップ」「理想の医療の追求」を重視するのであれば開業医としての道が視野に入ってきます。 それでは、「開業医としての働き方を選んだときの年齢」はどれくらいなのでしょうか。

厚生労働省が2020年に出した最新のデータでは、「5,142人の病院開設者もしくは法人代表者のうち、もっとも多いのは60~69歳の層である」となっています。

同データでは診療所の開設者もしくは法人代表者の統計もとっていますが、この場合ももっとも多いのは60歳~69歳であり、25,597人となっています。診療所の開設者もしくは法人代表者の総人数は72,586人ですから、実にその3分の1以上が60歳~69歳の層によって占められているのです。

厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

もう少し詳しく見ていきましょう。

病院の開設者もしくは法人代表者のうちの89.5%以上は、50代以上です。診療所の開設者もしくは法人代表者についてはもう少し割合は下がるものの、85.8%以上がやはり50代以上で占められています。

病院の場合は29歳以下の開設者もしくは法人代表者は0%であり、診療所の場合もわずか0.05%にすぎません。30代を見てみても病院の場合は1.8%程度、診療所の場合も1.7%程度にとどまっています。

つまり病院でも診療所でも、30代以下で開設者もしくは法人代表者になった人の割合はたったの2.0%程度にすぎないのです。

なお、日本政策金融公庫総合研究所が2019年にとったデータでは、「(病院に限らない)新規開業者の平均年齢は43.5歳である」とする一方で、50代での開業した人の割合が19.4%、40代で開業した人の割合が36.0%、30代で開業した人の割合が33.4%となっています。 このデータと、先の医師の開業の年齢を引き比べてみれば、いかに「医師の開業」の年齢が高いかわかるでしょう。

厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
厚生労働省「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について
日本政策金融公庫総合研究所「2019年新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」

なぜその年齢での独立が多いか?

では、なぜ他の職業と比べて、40代以降での開業が多くなるのでしょうか。 その理由は、主に下記の3つに分けられます。

  • そもそも医師になれるのは、最短ストレートでいっても26歳
  • 医師という仕事の特性上、ある程度の経験が必要
  • 開業医には医療技術だけでなく、経営者としての経営コントロールの手腕が求められる

1つずつ見ていきましょう。

そもそも医師になれるのは、最短ストレートでいっても26歳

まず大前提として、医師として活躍できるようになるのは最短ルートでも26歳になってからだということです。

医学部も医師試験もストレートで合格してもこの年齢であるため、20代でクリニックの新規開業を成し遂げるのは現実的ではありません。

医師という仕事の特性上、ある程度の経験が必要

医師は、仕事の特性上ある程度の経験と修練が必要です。医師の仕事はそのまま「生命」に直結するものですから、診察に間違いがあってはいけません。

それでも勤務医ならば先輩医師のフォローを望むことができる場合も多いといえますが、一人きりで開業に踏み切った場合、自分の知識と腕だけで治療に当たっていく必要があります。 このようなことから「ある程度経験を積んでから開業に踏み切りたい」として、若い年齢での開業に躊躇する医師も珍しくありません。

開業医には医療技術だけでなく、経営者としての経営コントロールの手腕が求められる

開業医は、医師であると同時に経営者でもあります。そのため医師としての技能はもちろん、経営コントロールの手腕も求められます。完全に自分一人で一から立ち上げた場合は、スタッフを雇うための面接業務なども、自分で行わなければなりません。

また多くのスタッフを雇う余裕がないのであれば、書類仕事を担当しなければならないこともあるでしょう。 「年齢を重ねれば経営手腕が身につく」とまではいえませんが、年若い時にこれらの技術を手に入れ、そして実際に采配を振るうのは非常に大変なことです。

若すぎる、そんな風に悩む人を解消するための方法とは?

ただ、このような事情はあるものの、30代前半などで開業する人も少数ではありますが存在します。

たとえば精神科医である渡邊功氏は、33歳の若さで東京日本橋にクリニックを開設しています。

氏に代表されるように精神科や皮ふ科などは比較的若い年齢でも開業しやすい科といわれていて、専門分野によっては若年での開業も十分に可能だといえます。

また、「開業」というと「新規開業」をイメージする人も多いかと思われます。しかし現在は「跡継ぎのいないクリニック」も増えているため、このようなクリニックと契約すれば、その後を継いで独立することもできます。この「継承」は親族などに限られるものではなく、まったくの第三者であっても可能です。

クリニックを持っていた医師からすれば地域医療の後継者ができるというメリットがありますし、受け継ぐ側からすれば開院時に必要な初期投資を大きく抑えられるというメリットがあります。

「経験のなさ」「一人きりで運営していけるかどうか不安」という人は、ほかの医師と相談し合う機会を意識して設けるのも1つの方法です。開業医同士で悩みを共有することで解決策が見つかることもありますし、医院同士で提携をし合えばトラブルがあったときなどにもすぐにフォローをし合えます。

なおここまでは主に「若いときに開業をするにはどうしたらいいか」について解説してきましたが、もちろんある程度年齢を重ねてから開業することにもメリットはあります。

勤務医の時代が長ければその分十分な資金を貯めやすくなりますし、技術や経験も蓄えやすくなります。勤務医時代に培った人脈が、開業医となった後に生きてくることもあるでしょう。しかも、開業医には定年がありません。

年若いときに開業をすることにも、年齢を重ねてから開業をすることにも、メリットはあります。

ただいずれの場合であっても、起業をするにあたっては「人手不足」に悩まされることが多いといえます。

たとえば「金融機関とう交渉していけばいいのか悩んでいる。交渉を担当してくれる人が欲しい……」「開業したとして、本当に患者が来るのか不安。マーケティングの支援をしてくれる人が必要」「スタッフを募集したいが、人が来なかったら困る。採用募集のノウハウを持っている人材が欲しい」などです。

このような悩みをお持ちの方は、ぜひ私たちにお声をお掛けください。

私たちは「医業経営者支援」として、開業を目指すみなさまのバックアップをしています。 一緒に「よりよき起業」を目指していきましょう。

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この記事を書いた人

New Trends Management代表
■資格/AFP(日本FP協会認定) 
■趣味/バスフィッシング、野球観戦
■出身/宮城県仙台市

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